松山大学薬学部 医療薬学科 医薬情報解析学研究室

研究室の特徴- RESEARCH -

研究テーマおよびkeywords

研究室紹介

臨床現場における様々な問題点を解決するため、薬剤師や医師、他大学と共同研究をしています。

  1. 抗がん剤の副作用に対する予防・治療薬の開発
  2. 腸間膜動脈/大腸動脈血管床における血管作動物質の機序解明
  3. 神経突起伸長に及ぼすニコチンの影響
  4. 受動喫煙によるヒト尿中コチニン含量の変化
  5. 喫煙行動と各種疾患との関連について
  6. 精神疾患・てんかんの病態解析に関する研究
Keywords
がん、ドラッグリポジショニング、炎症性腸疾患、血管周囲神経、腸間膜・大腸動脈、ニコチン、精神疾患、てんかん、医療ビックデータ、生活習慣病、喫煙行動

研究内容

  1. 抗がん剤の副作用に対する予防・治療薬の開発
     各種抗がん剤により惹起される末梢神経障害に及ぼすレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系阻害薬(RAASi)およびスタチン系薬の予防・治療効果を検討してます。抗高血圧薬(レニン・アンジオテンシン系阻害薬)が、オキサリプラチン誘発末梢神経障害(OIPN)を有意に抑制することを世界で初めて発見しました(Uchida M, et al. Clin Ther, 2018. 40: 1214-22.)。さらに、愛媛大学病院、徳島大学病院および岡山大学病院薬剤部との多施設共同研究より、RAASiは急性および慢性(蓄積性)OIPNの発症をいずれも有意に抑制することも明らかにしました(以下の図参照, Uchida M, et al. Biol Pharm Bull, 2022. 45: 226-234.)。
     臨床・基礎研究は、いずれも国内の様々な大学や病院との多施設共同で展開しており、上記問題点の解決に向けた新規エビデンスを創出しています(以下参照)。
    研究内容
  2. 腸間膜動脈/大腸動脈血管床における血管作動物質の機序解明
     全身の血圧維持に重要な役割を果たしている腸間膜動脈抵抗血管を用いて、抗がん剤により誘発される高血圧の病態とそのメカニズムを解明することを目的として、検討しています。
     また、我々は大腸動脈血管床を用いた灌流標本の新規構築に成功しました。大腸動脈の血管機能調節機構を明らかにし、炎症性腸疾患の発症および進展に及ぼす血管機能変化の影響についても検討しています。
  3. 神経突起伸長に及ぼすニコチンの影響
     我々は、ニコチンがニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)を介して、ラット腸間膜動脈血管周囲交感神経を伸長すること(Takatori S, et al. Eur J Pharmacol, 2015. 748: 1-9.)、さらに、ラット上頸神経節(SCG)細胞の神経突起を伸長および抑制することも明らかにしました(Kawasaki H, et al. J Pharmacol Sci. 2022. 148: 103-107.)。
     現在は、交感神経様に分化する特徴をもつPC12細胞の神経突起伸縮に及ぼすニコチンの影響についても検討しており、ニコチンによる神経突起伸縮作用の臨床応用に関する研究を展開しています。
  4. 受動喫煙によるヒト尿中コチニン含量の変化
     受動喫煙の影響を尿中コチニン濃度を測定して調査しています。高大連携事業の一環として、近隣の高校生と共同で実施しました(Takechi K, et al. YAKUGAKU ZASSHI, 2022. 142: 875-882.)
    また、本学薬学部生を対象とした調査も進めています。家庭や学校内における紙巻き・加熱式・電子タバコによる受動喫煙(二次喫煙および三次喫煙)の状況を把握し、各種タバコによる受動喫煙のリスクとその対策について正しい知識を伝達します。
  5. 喫煙行動と各種疾患との関連について
     大学や公共施設の喫煙スペースにおける受動喫煙状況およびリスクを調査し、受動喫煙によるリスクを低減するための改善策を提案します。また、喫煙と様々な疾患との関連を解明するため、カルテ調査による疫学研究なども実施しています。
  6. 精神疾患・てんかんの病態解析に関する研究
     てんかんは、けいれん症状を主とした脳の慢性疾患であり、様々な精神疾患を呈することが報告されています。そのため、数々の抗てんかん薬が開発され、現在の臨床現場では、数十種類の抗てんかん薬が使用可能となり、てんかん発作が抑制されるようになりました。しかし、発作がコントロールされていても約30-50%が精神医学的問題を抱えているという報告もあり、患者のQOLの低下が問題となっています。
     本研究は、臨床現場や基礎実験のデータバンクに集積されたビッグデータを活用して、ドラッグリポジショニングによる画期的な抗てんかん薬の検討を行っています。また、てんかんによる精神障害の関係は、ヒトを対象とした臨床研究は倫理面の観点から実施は困難であり、未解明な点が多いのが現状です。そこで、てんかんの動物実験モデルを用いて、てんかんによる精神疾患の関係を明らかにし、現在の抗てんかん薬だけでは治療困難な部分に対する新たな薬物療法の可能性を探索しています。
     学生さんには本研究の参加を通して、実験手技の修得にとどまらず、将来臨床現場に立った際に生じる問題解決能力の一助となる論文の読み方や基礎・臨床問わず研究結果の解釈の仕方(薬物療法の最大限の活用)などの思考力も身に着くようチーム一丸で頑張っていきます。

研究室生活

研究室生活
  1. 活発な卒業研究活動(1回/2週間の進捗報告)
    → 自身の成長と社会貢献、失敗を恐れず、果敢にチャレンジ!
  2. ラボ行事・運営への積極的な参加
    → 協調性・コミュニケーション能力の向上
  3. 挨拶励行(元気・笑顔・礼儀)、感謝と謙虚な気持ちを忘れない

上記の3点を意識して、下記の能力取得を目指しています!

卒業までに修得すべき能力

卒業までに修得すべき能力
  1. コミュニケーション
  2. タイムマネージメント
  3. 臨機応変(偶然は必然)
  4. 後輩指導(人材育成)
  5. リーダーシップ