教育理念・目標・特徴

HOME >> 教育理念

教育理念と目標と特色 教育理念と目標と特色

松山大学薬学部では、建学以来80有余年受け継がれてきた本学の校訓「三実主義」に基づき、実践的な教育・研究を行い、強い倫理観をもった社会に有用な薬剤師ならびに薬学関連分野で幅広い知識や人類福祉に貢献できる実践力を有する高度専門職業人(=時代が求める薬のスペシャリスト)を養成することを教育理念と致しております。

背景

近年のめざましい先端科学の進展に伴う医療技術や医療機器の発達や新しい医薬品の創製、さらには、薬剤師という職能を支える社会性や倫理観の醸成による医薬分業の推進や医薬品の安全使用の問題など、薬学教育がカバーすべき分野は大きく拡大しつつあります。本学部では、「時代が求める薬のスペシャリスト」を養成することを目標に教育研究の理念・目標が設定されています。

三実主義とは

松山大学の校訓は、「真実」「忠実」「実用」の「三実主義」です。「真実」とは「常に自ら真理を求める態度」、「忠実」とは「自分の言行に対して責任をとらんとする態度」、「実用」とは「社会に奉仕する積極進取の実践的態度」です。薬剤師の職責は、常に生命の尊厳を第一義として、科学に対する謙虚さでもって自らを厳しく律し、社会の信頼に応える、というものであり、まさしく「三実主義」の目指すものです。

 

具体的な教育目標 具体的な教育目標

1:コミュニケーション能力を備えた人材の育成

医療現場では医師や看護師等の医療スタッフと連携を図りながら、患者の気持ちを理解し、患者との信頼関係を構築し、コンプライアンス(服薬遵守)や薬物治療の効果を向上させることのできる人材が必要とされています。そのため、薬学部生にはコミュニケーション・カウンセリングスキルズを身につけるためのスモールグループ・ディスカッション(SGD)が早期からカリキュラムに組み込まれています。

2:セルフメディケーションに適応できる人材の養成

医療費の負担が高まりつつある今日、国民は軽度の疾病・外傷についてはセルフメディケーション(自己治療)で対応していくこととなります。そのため、薬剤師は、セルフメディケーションが可能か、医療機関に紹介するべきか、その限界を見極めながら適切な判断・指導・助言ができなければなりません。本学では、内科を専門とする医師を専任教員として配置し、「医学概論」、「内科学」、「病理病態学」、「病態生理学」などの医学系科目の教育を充実させています。

3:医薬品情報の収集と提供ができる人材の養成

医薬品の適正使用を推進するには、必要な医薬品情報を理解し適切な情報提供が実践できるようになることが必須です。そのため、薬学教育では、内外の医薬品の安全性、有効性、副作用などに関する最新情報の収集を助けるIT技術と薬学英語を徹底して教育するために、「医薬品情報学」を必修科目としています。

4:薬学にとどまらず人文・社会科学系の知識を持ち、産業界で活躍できる人材の育成

患者さんの心のケアもできる薬剤師となるには、専門知識と合わせて基礎的教養と幅広い人間力を養うことが必要です。また、経済学、経営学、マーケティング関係の知識が必要な産業界で活躍することもあります。そのため、「コーポーレート・ガバナンス」、「貨幣経済論」、「消費者法」、さらには薬学部専門教育科目として「医薬品マーケティング」、「医療経済学」などを開講しています。

5:法律や制度に通じた人材の育成

薬剤師や薬学に係わる者は、わが国の医療や薬事に関する法律や制度、また学校教育に関する法律や制度のもとで活躍することとなります。そのため、「薬事法規」、「医療制度論」など、必要な法的知識を理解する科目も設定されています。

6:ボーダレス(グローバル)化時代に活躍できる人材の育成

近い将来、日常的に外国の人々と接する機会が増え、薬学部生が海外で活躍することが多くなると予想されます。グローバリゼーションに対応できるよう、日常的語学力にとどまらず、薬学の専門的語学力を身につけるため、薬学英語を学び、卒業研究においては英文論文の講読を指導しています。

7:大学や研究所などで活躍する人材の育成

医療薬学科として医療薬学を学んでいきますが、その過程で薬学研究や医薬品開発に高い関心をもつ学生には、その方面での目的を達成できるよう指導が行われます。

入学後の教育特色 入学後の教育特色

入学後は薬学モデルコアカリキュラムに従った標準的な薬学教育を踏襲しながら、本学の教育目標を達成するための総合的な6年制薬学教育が行われますが、本学では特に次のような教育に力を入れて薬学教育が行われます。

・ 薬学の基礎となる高校理科科目に対するリメディアル教育の充実

リメディアル科目である「物理学I」、「物理学U」、「化学I」、「化学U」、「生物学I」、「生物学U」は自然科学関係科目の中でも薬学領域の科目と密接なつながりがあるため、しっかりとした基礎固めの意味もあり、薬学領域の学習と有機的な連携がとられています。これらの科目は必修科目であり、学習効果を高めるため2クラスに分け、1クラス数十人規模としています。さらに、高校で物理・生物・化学のいずれかを受講していないもしくは苦手だった学生に対しては、「基礎物理学」、「基礎化学」、「基礎生物学」を選択必修科目として1科目以上を選択することとなっています。

・ 早期体験学習や事前実務実習におけるSGDを用いたコミュニケーション能力の開発

スモールグループ・ディスカッション(SGD)とは、8〜10名の学生が一つのグループをつくり、グループ全員が自分の意見を発言し、他人の意見を聴き、ディスカッションしながらグループの意見をまとめ発表するという学習法で、協調性や積極性、コミュニケーション能力やプレゼンテーション能力を養うことを目的としたものです。本学部では、新入生オリエンテーションや早期体験学習などの初期の段階からSGDを取り入れコミュニケーション能力の開発に力を入れています。さらに、4年次では「病院・薬局 薬学T・II」の演習・実習として、医療倫理、リスクマネジメント、医薬品安全使用に関するSGDおよび患者・医療スタッフとのコミュニケーション技術の向上を目的としたロールプレイを実施しコミュニケーション能力の開発を継続的に行っています。

・ 内科学、病態生理学、臨床心理学などの臨床医学教育の充実

6年間の“学び”のプロセスとして、薬学の基礎となる基礎薬学科目から医療系の科目、さらに臨床系の科目へと発展させ、知識、技能および態度を実際の医療現場と密接に関連付けていきます。臨床医学教育科目として「医療薬学T」、「医療薬学U」、「医薬品情報学」、「薬物治療学T」、「薬物治療学U」、「調剤学」、「治験薬学」などがあり、これらの授業は医療現場での実務経験豊富な実務家教員が担当しています。また、これらの科目では各種疾患に対する医薬品の適正な使用法について学ぶほか、処方設計、適切な服薬指導など、医療現場での具体例を豊富に盛り込んだ教育を行っています。

・ 愛媛県薬剤師会、愛媛県病院薬剤師会と密に連携して取り組む実務実習

6年制薬学教育では、5.5ヶ月にも及ぶ病院実務実習・薬局実務実習(実際の病院薬局や調剤薬局での実習)が行われます。本学では、愛媛県薬剤師会、愛媛県病院薬剤師会と密に連携して県下の多くの病院及び調剤薬局で十分な実務実習が行えるような体制を整えています。また、学生が病院や調剤薬局で実務実習を行うためには、一定水準の知識、技能、態度を有している必要があります。本学部では病院実務実習・薬局実務実習に先立って、大学内で調剤および製剤、服薬指導などの薬剤師職務に必要な基本的知識、技能、態度を修得するための科目として「病院・薬局 薬学T」、「病院・薬局 薬学U」、「病院・薬局 薬学V」が4年次に配置され、いずれも必修科目とされています。

・ 基礎英語から薬学英語まで1〜4年次まで履修する英語教育の充実

現今のグローバル化社会において最も広く用いられている国際言語は英語であり、国際感覚を養うためには特に英語の習得が必要です。薬学部においては他学部と同様、1年次に「英語1」、「英語2」、「英語3」、「英語4」を必修科目としています。「英語1」〜「英語4」では「読む」、「書く」、「聞く」、「話す」の全ての要素を取り入れていますが、なかでも「聞く」、「話す」に主眼が置かれています。

・ コーポレートガバナンス、消費者法など薬局開設者の育成を見据えた専門社会学科目

薬学部卒業生が将来、薬局経営等の企業の経営に携わることもあり得る時代です。そこで本学の特徴を生かし、経済学、経営学、マーケティング関係の科目である「医薬品マーケティング」、「医療経済学」、「コーポレート・ガバナンス」、「貨幣経済論」、「消費者法」を開講しています。

・ 問題発見能力、調査能力、解決能力の向上を意識した基礎薬学実習及び卒業研究

4年次の「病院・薬局 薬学T」、「病院・薬局 薬学U」、「病院・薬局 薬学V」の講義において、医療施設で医薬品が使用される過程で発生する過誤・事故の事例を紹介するとともに、発生する背景、要因分析、対策などについて「薬剤師によるリスクマネジメント」と称した自己学習およびスモールグループディスカッション(SGD)による医薬品安全使用に関する総括的学習機会を設けています。この学習では、様々な疾患に対する薬物治療症例を提示し、自己学習により各症例における問題点の把握、副作用等の患者不具合を回避するために必要な薬学的ケアの提案を自己学習で考察し、その内容をSGDで討議することで薬剤師に必要とされる問題解決能力および提案能力の習得を行っています。

このページのTOPへ